生物多様性







あらゆる生物にとり避けなくてはならないことは、

変動してゆく環境に適応できずに絶滅を迎えてしまうことである。


それを防ぐために、種内では個体数を増やすことが大切になる。

そして種間を跨った多様性を保持することが環境に順応するための生存方法となる。





種内多様性というのは遺伝によって伝えられ、

同じ種や同じ個体群でも細胞分裂のときに起こる染色体の構造変化やDNA配列の変化などで、

より現存の環境に適合する優れた遺伝子の働きを次の命に生み与えるものであり、

この遺伝的な多様性に利用して種は絶滅を逃れている。

一般的に小型種に個体数が多く、大型種に個体数は少ない傾向と言われていて、

多様性を保つためには孤立した集団の場合、

50体から500個体程度が必要だと言われている。

これは単一品種で生物多様性が乏しいと環境の変化や外敵の侵入で

絶滅しやすいと言われているからだ。


個別の種の垣根をまたぎ、別の種間と遺伝子を交換している場合には

環境の突然変異に対応しやすく、絶滅しにくい種が生まれることにつながる。

遺伝的多様性が失われると絶滅危惧種のチータのように

繁殖成功率は低下してしまうというマイナスの面もあるし、

孤島に隔離された固有種のように些細な環境変化や新しい病気が流行ると

一気に絶滅してしまうことも起こりうる。

遺伝子の変異によって種を生存させるための知恵が特殊化で、これが種間の多様性である。

同一種内での生存競争だけが多様性の決め手ではない証拠に、

自然界には生存力の強い構造と全く違う構造をした生物群集がたくさんあり、

種間を跨った多様性が形成されている。


例えそれが優れたものであっても生物はひとつの方向性だけに向かうのではなく、

個々様々な方法に進むことで結果として全体が生き延びることが特殊化というものであり、

多様性の英知なのであろう。

自然状態におかれた生物は強者の一点集中よりも複雑な生命を結び、

種間の多様化の方向をとってゆく。

種は違っても同じ餌を糧としている生物はギルドという仲間の枠でくくることができ、

食物連鎖の中でこのギルドが重なると競争原理が働いて

どちらか優れたほうだけが餌にありつき一種だけしか生き残らないことになりそうだが、

自然界ではうまく住み分けをして共存可能な程度に競争を減らす。

ギルドの中では競争力だけが全てではなく、種間特殊化が働いて整合性を取っている。


しかし、生態そのものがよく似ていて生態系の中でほぼ同じ役割を果たす種間、

ニッチが重なる生物同士の場合には容赦なく他者を絶滅させてしまうことがある。

ガウゼという学者が説いたガイゼの原理で、これは競争排除の原理とも呼ばれている。





一方、同一種内の個体同士で餌を奪い合う生存競争は最も厳しく行われる。

それは餌の絶対量が少ないほど厳しい。


ニッチが異なる生き物が種間多様性で、安定した群集では特定の餌だけを食べつくすことなく、

餌の個体数が少なくなると他の餌を捕食することで自然と餌動物の多様性を保たれる。


ただし、そこに外来種の捕食者がやってきた場合に限って捕まえるのが簡単なら

最後の一匹まで餌を捕りつくしてしまう。

長い時間をかけ、進化の賜物として育った種間多様性の中では

種間に相互作用が働いて自然と種の多様性が維持されるが、

外敵が持ち込まれた場合にはそうはいかない。


種間多様性における上位捕食者にはキーストーン種というものがいて、

彼らが下位の動植物を定期的に捕食することでそれらの大量増加を抑制する効果がある。

キーストーン種の存在がなければ下位の動植物の大量増殖に歯止めがかからず、

いずれは生態系を食べ尽くしてしまう。

一方、人間が保護したがるシマフクロウのようなアンブレラ種というのは

最早現状の環境に適合しにくくなっている種であって、

彼らが生きるのには豊かで広大なスペースが必要で、

このアンブレラ種を守ると周囲の色々な自然や動植物を保護することにはなるが、

アンブレラ種がいなくても致命的な生態系への影響が出るものではない。


キーストーン種がいないと全体的に問題が発生して、

生態系そのものが崩壊してしまう可能性が高い。


太古から天変地異による生物の大量絶滅は何度も繰り返されてきてはいるが、

現在ではそれを我々人間が原因となって引き起こしており、

自然環境を大きく変えていることが問題である。

人間が住む場所は人間しか住むことができなく、他の生物との共生が難しいからだ。


環境保護という人間中心の視点ではなく、元ある自然環境に従順に生きてゆき、

人間の人口の多さは種間多様性に反す外敵に値すると考えるもの大切なことであろう。

自然状態での種内・種間の多様性こそが生物共通の財産であるのだから。







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